« March 2012 | Main | October 2012 »

夏休みの読書

直接仕事と関係なく、また何かの原稿とも関係がない本を昼間の時間に読めるというのが、ちょっと長い休みの幸せ。今回は昨年から気になっていたが長いので読みそびれていた、2011年の直木賞受賞作「下町ロケット」を読む。

スローリーはご存じのように、中小企業が特許で大企業に対抗し、自社製バルブを日本製ロケットの部品に採用させて、ロケット打ち上げ成功にする、というものだが、弁理士としては特許に関係する部分を非常に興味深く読んだ。

ストーリーとは直線関係ないものの、一つ気になったのが特許弁理士は登場しないということである。たぶん、大企業の特許出願が、先行する主人公の中小企業の特許出願があったために認められなかったと報告にきた「三島先生」というのが弁理士と思われるが、極めて影が薄い。大企業との交渉前に主人公が巻き込まれた特許訴訟においても知財専門の弁護士のみが登場する。特許訴訟では、特許出願を担当した弁理士が代理人(知財訴訟の代理人資格を取っている場合)か補佐人として関与することが通常である。ストーリーとしてはよくできているが、肝心の特許の中身(先行権利とどの部分が抵触していたのか、などの詳細)は明らかでないので、この部分が書ける(あるいはアイデアを提供できる)のが特許専門の弁理士だと思う。

最後にロケットが飛ぶ部分、やはり感動した。

オレたちはやったんだ

こういう感動を味わえるのはモノづくりを直接やっている人たちなんだなあ、とサービス業の私はうらやましい。

次に、読書家の妹推奨の一冊、「八朔の雪ーみをくつし料理帖」。江戸物で女性の料理人がステップアップしていく物語。江戸物の料理物はちょっとしたブームで他にも出ている中、妹いわく、このシリーズがベストとのこと。

登場する料理のレシピが巻末に付いている。料理のレシピというのは保護はむずかしいが無体財産であり知的財産といえる。(文章になった料理のレシピには著作権があるが、アイデアは保護されない。俳句や川柳のように短くても創作性のある料理名は著作物と認められる可能性があるかも)

という無粋なことはともかく、「下町ロケット」と違う感動で涙が出たのが以下の部分。

おとりさまからの帰り、こうやって、あたりにある福を掻き寄せて、この熊手にくっつけて来たんだぜ。だから来年はお澪坊とご寮さんに、きっと良いことがどっさりさね

不幸の連続で、元奉公先の奥様と暮らす主人公の澪に、澪の性格や腕を見込んで雇っている蕎麦やの主人が寄せる無償の善意。トシ取ると、こういうのに涙腺がゆるみっぱなしなんである。

|

知財仲間と高知、松山ツアー

徳島の弁護士、N先生の事務所のお世話になり、今年で3回目の知財仲間四国ツアーへ。

8月11日(土)

東京組は羽田で待ち合わせて高知龍馬空港へ。空港にも龍馬の名前が。空港で四国組と合流し、車4台で高知市内へ。昨年、阿波踊りに参加したように、今年のメインの目的は高知のよさこい祭りへの参加。

「土佐の高知のはりまや橋で 坊さんかんざし買うを見た よさこい よさこい」

この歌は、小学校の盆踊りで習ったのか、なぜか知っている。「よさこい」とは「夜に来い」という意味らしい。

よさこい踊りは、この節をどこかに使った音楽と、鳴子という、いわばカスタネットみたいな、鳴り物を使うこと以外制約はなく、衣装はなんでもあり、というかんじ。踊りのグループは自分たちの楽団が上に乗った派手なトラックを従えて次々に登場して踊る。こういう方式は見たことがなく、国内でも見聞していないことは、まだまだありそうだと感じた。

Img_01981

すごい混雑の中、N先生が見つけてきたお店の広い座敷で昼食。まず今回最初の鰹のたたきを堪能。早くも生ビールで乾杯!

ところで頻繁に目にするでっかいキリンビールの広告に「たっすいがは、いかん」とある。「たっすいが」ってなに??N先生の解説では「つまらんことは言うな」。飲みながら、つまらんことを言うな、ってのは、なるほどである。ネットで見たところでは、「薄いビールはいかん」という解説があり、濃いビールであることをアピールしているとも解釈できるが、両方の意味を掛けているのかも。

(試しに「たっすい」という称呼で商標を検索してみると「達粋」という字で1件登録があった。「達粋」というのは阿波弁で「ばからしい」という意味らしく阿波踊りの達粋連という連があるという。)

Img_02091

それから、よさこい踊りの体験となったが、上に紙のハッピをはおって鳴子を持つだけの簡略な装束。体育館で何回か振りを練習してから本番。この間、体育館が蒸し風呂状態で、たまらんぜよ、ってかんじで、われわれサボり組は集合時間まで体育館を抜け出して高知城見物へ。しかし、こちらも天守閣まで上るのが、運動不足の身にはとってもたいへんでした。

われわれ寄せ集め隊の踊りの先頭には、高知市のマスコットの龍馬キャラクターの着ぐるみさんが。この龍馬キャラクター、「坂本龍馬」の文字とともに商標出願したところ、歴史上の人物名が含まれていることから、商標法4条1項7号(公序良俗違反)により、特定人に独占させるべきではないとして、審判で拒絶されている(不服2011-928)。この審決は商標法の講義で取り上げたが、坂本龍馬にゆかりのある高知市が出願人になっていても7号違反とすべきかどうかはさておき、登録したとしても権利は「坂本龍馬」の文字にはなく、要部とみられる龍馬キャラクターにあるとみれば実害はないと思われる。

20105774_2 

踊りは何回かノルマがあったらしいが、われわれは一回で満足とリタイア。大汗を流すべく宿へ。今宵の宿は三翠園という由緒ある門構えの旅館で天然温泉である。

その夜は得月楼という料亭で同日2回目の鰹のたたき、ほかの土佐料理を堪能。

Img_02141得月楼は、宮尾登美子の小説「陽暉楼」の舞台となったお店。座敷に初版本が飾ってあり、「陽暉楼」というお酒もある。

Img_02131

昼も夜も、N先生の粋な差配に感謝!

帰りに、「がっかりスポット」だという、はりまや橋を通る。小さい橋!

Img_02191 

8月12日(日)

まずテレビドラマの龍馬で有名になった桂浜へ。坂本龍馬のでっかい銅像が立っている。桂浜で私も「世界はでっかいぞお~」なんて叫んでみたかったが、一応団体行動であるのと、好天の浜は焦げそうに暑くて、そういう感傷に浸ることはできなかった。ちょっと残念。坂本龍馬記念館を見学。以前、京都で大盛況の龍馬展を見ていたので、さほどの感慨はなかったが、建物から見下ろす海辺が美しかった。

Img_02211

その後、西島園芸団地で、フルーツとトマトカレーのランチ。ここは温室の中に様々な植物が心地よい。(トイレがスイカ型)

Img_02301

さて、いよいよ本日のメイン、吉野川、大歩危のラフティングへ。ラフティングは初体験だったが、まるで運動音痴の私は大いに不安で、更にインストラクターの、万一の時の注意事項を聞いているうちに、これはやばいとすっかり逃げ腰になっていた。なにしろ、ボートから落ちた時の注意事項ばっかりで、落っこちることが前提みたいな説明だったからである。しかし、ここまで来て引き下がるわけにはいかない(っていうか、すっかり、アンダーウエア、ライフジャケット、ヘルメットを着込んでからだったし)、ここで止めたら一生体験しないだろうし(実際、もう一回やるか、と聞かれたらノーと思う)、ぜひ皆と体験をともにしたいと思ったからである。(果たして、ディナーではラフティングの笑い話ー掛け声ばっかりで漕いでないヤツ、わざと落っこちたと思っていたらマジ焦っていたヤツ、などなどーで大いに盛り上がった。)

果たして急流でボートから振り落とされたでしょうか?!(写真は最後の難所の激流ポイント)

Img_02311

というと無事でした。後からわかったのは、かえって自信がある人がボートから乗り出しすぎて落っこちるケースが多いらしく、臆病に中の方にしがみついていれば(それは私)だいじょうぶなようである。とはいえ、難所通過時のアップダウンはジェットコースターより迫力満点だった。

びしょ濡れになって終了、松山市へ向かう。ドライブ途中、夕日を背に重なる大きな山々のシルエットが美しく、これは関東の方では見られない光景だと思う。

今宵のディナーはフレンチ、とのことで、お召し替えなどしたかったところ、松山市への到着がギリギリで時間がない、ということで、ホテルからすぐにディナーへ向かう。レストラン門田では、地元の素材を生かした味(またもや鰹など)が楽しめた。この2日間で、鰹は当分食べたくない、くらいに堪能できた。

8月13日(月)

朝一に、ホテル目の前の萬翠荘(旧松山藩主の子孫の別邸)と坂の上の雲ミュージアムを見学。

Img_02381 Img_02371

その後、なつかしい路面電車に乗って道後温泉で一休み。以前に弁理士会の松山セミナーの際に訪れたことがあるが、座敷でまったりできるのがよい。(「千と千尋の神隠し」のモデルとなったという建物)

Img_02401

ということで、今回も盛りだくさんの三日間で四国を堪能することができた。

|

« March 2012 | Main | October 2012 »